贅沢な一杯

ドトール系列のコーヒーチェーン店、エクシオールカフェで売り出している「ドミニカンルビー」というコーヒーがある。

底辺の生活を送っている私たちにとっては、なかなか高価な豆。

今、そのコーヒーを2人で飲んでいる。

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カップから最初に感じるのは柔らかな苦味。後からその苦味を覆うように華やかな甘味が広がる。その風味の繊細さはベルベットのよう。

 

部屋に射し込んでいた西日も落ちた。窓際で昼寝をしていたみぃちゃんは隣の部屋のベッドに移動して、また新たな眠りを楽しんでいる。

 

ハンドドリップでコーヒーを飲む時、私たちには、ちょっと変わった習慣がある。

コーヒーを二口、三口、カップに残しておくこと。

コーヒーは湯の温度と共に味わいが変化してゆく。残ったコーヒーで最後の風味を味わう。これが至極幸福なひととき。

その時間を共に享受できるパートナーが存在していることも、また更に私を幸せにしてくれる。

貧しいけれど、リッチ。確かに生きていて、確かに老いていく。時の流れの中で、断片、断片にやって来る幸福感。

闇猫が私に寄り添ってきた。その温み。

生きている。

 

こんな不甲斐ない私ももうすぐで五十になる。人生の折り返し。きっと這いつくばって、醜態を晒しながら死へ向かって行くのだろう。

でも、きっと隣には闇猫が横にいてくれている。